本日より、弊社社長と疑似子育て始めます



野々花が働くネイバークリプトは金融システムの設計・開発・運用をしている会社だ。十年前は数名の社員しかいなかった会社だが徐々に顧客を増やし、企業向けの独自バーコード決済サービス、いわゆるPayアプリの開発・導入が当たり、業績が大幅に拡大。今や二百名を超える従業員が働いている。

野々花は社会人になって七年目。広報部に所属し、ウェブサイトの管理やプレスリリースの作成、メディア対応などの社外広報のチーフを務めている。

「おはようございます、野々花先輩。金曜日はすみませんでした」

朝イチで声をかけてきたのは、三つ年下の小瀧文乃。彼女がぺこりと頭を下げると、肩上で切りそろえられた栗色の髪がサラリと揺れる。キリッとした猫目が印象的で、トレンドを上手に取り入れたメイクやファッションがよく似合っている。

「おはよう、文乃ちゃん。大丈夫だよ、部長に見せる前に気付いてよかった。それよりライブ間に合った?」
「ありがとうございます。お陰様で、全力で推しを愛でてきました!」
「そっか、よかった」
「これ、布教という名のお土産です」