「今までは事を荒立てたくない宮部さんに止められたからなにも言わなかったですけど。いい加減、突っかかってくるのやめてもらっていいですか。マジでウザいです」
「なっ……」
辛辣な三柴の言葉に顔を赤らめて絶句する後藤に、文乃が追い打ちをかける。
「後藤さん、食堂で社長がなんて言ってたか知らないんですか? 私、社長から直々になにかあったら教えてほしいって頼まれてるんで。目に余ったら報告させてもらいますから」
これまで言いたい放題だった後藤も、さすがに『社長に報告する』という言葉に怯んだらしい。苦虫を噛み潰した顔で舌打ちすると、そそくさと自席へと戻っていった。
ふっとその場の空気が緩むと、向かいのデスクから三柴がバツが悪そうに頭を下げる。
「すみません。放っておけばいいって宮部さんは言ってたのに」
「ううん、大丈夫。さすがに私も黙っていられなくて言い返しちゃったから」
「野々花先輩は我慢しすぎなんですよ。もっと早く言い返してもよかったくらいです」
自分のことのようにプリプリ怒る文乃を宥めつつ、野々花は先ほどから気になっていることを尋ねた。



