「憶測で事実無根の話を口にするのはやめてください。私だけでなく、チームのメンバーや社長に対しても失礼です。それに、今の発言はセクハラですから」
まさか言い返されるとは思ってもみなかったのだろう。後藤は一瞬苛立った表情を見せたが、すぐに優位性を示すように顎を上げ、不遜な笑みを浮かべた。
「女はすぐにそうやってセクハラだなんだって騒ぐ。自意識過剰なんじゃないか? ちょっと社長に構われたからって、いい女気取りは痛いぞ」
「男の俺からしても、今のは完全にセクハラだと思いますけど?」
ガタンと音を立てて立ち上がった三柴に、後藤が怯む。
「な、なんだよ、本当のことだろう」
「本当のこと? どこがですか?」
「ど、どこって……」
野々花に対しては高圧的で嫌みったらしく話す後藤だが、三柴に対しては反論しつつも視線をキョロキョロと彷徨わせている。いつだったか三柴が言っていたとおり、女性や自分よりも弱い相手に威張ったり嫌がらせをして自分を大きく見せるタイプなのだろう。



