本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


それを聞いた野々花の顔がじわじわと赤らんでいく。

自分たちは想い合っている恋人同士ではない。デタラメな噂が広まらないためのリスクヘッジだとわかってはいても、野々花を守ろうとしてくれた一哉の気遣いが嬉しい。

「いいよなぁ、女は。チーフになれたのは社長のお気に入りだからってことだろ」

文乃との会話を聞いていたのか、後藤が口を挟んできた。

「こっちは必死に働いてるってのに、身体で役職がもらえるなんて楽だよなぁ。所詮、社外広報は見かけだけの人間の集まりってことか。女嫌いの社長を誑かすって、宮部さん、ソッチはかなり優秀なんだ?」

全身を舐め回すような視線に嫌悪感が湧き、野々花は顔をしかめる。これまでも数々の嫌みを言われてきたけれど、さすがに今の発言は限度を越えている。野々花だけでなく、優秀な後輩や一哉まで貶める発言は許せない。

野々花は身体ごと後藤に向き直り、じっと睨むように彼を見据えた。