本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


出社したのは、食堂で倒れた二日後。昨日は一哉の言いつけを守り一日中マンションでゆっくりしていたため、体調はすっかり元通りだ。

「のの、げんき?」
「うん。もう元気になったよ」
「じゃあ、あしょぼ!」
「ふふっ、保育園から帰ってきたらね」

朝から双子とそんな会話を交わし、一緒に車で出社しようという一哉の誘いを再度断った野々花は、いつも通り満員電車で出勤した。彼と〝結婚を前提に交際中〟という偽りの関係が社内に広がっていて針の筵なのではと心配していたけれど、想像したほど視線を向けられることもなく、あまり気にならない。

その理由は広報部で知ることができた。

「おはようございます、野々花先輩」
「宮部さん、もう大丈夫なんですか?」
「うん。ごめんね、心配かけちゃって。あのあと大丈夫だった?」