それでも、一哉の言葉に否とは言えなかった。了承の意を込めて小さく頷くと、彼はホッとしたように微笑む。 「ふたりが起きてくる前に、俺たちだけで朝ごはんにしよう」 「はい」 「もうできる。野々花は座ってて」 朝日が差し込むダイニングテーブルで、一哉とふたりきりで朝食を食べた。彼と視線が絡むたび、くすぐったい感情が溢れてくる。 胸のざわめきを振り払えないまま、野々花は一哉が作ってくれた鮭の雑炊を噛み締めるように食べたのだった。