自分で可能性を否定し、心の奥がズキッと痛む。
そんな野々花の内心を知らぬ一哉が、さらに提案を持ちかけてきた。
「俺としては、会社でも同じように説明したいと思ってる」
「えっ……?」
食堂で倒れた野々花を運んだのは一哉だ。その時につい名前を呼んでしまったことや、彼の珍しく慌てた様子から、ふたりが親密なのだと誰もが推測しただろうとのこと。
「同居の提案をした時には、こんな風に噂になるとは思ってなかったんだ。悪い、俺の認識が甘かった」
「そんな、一哉さんのせいじゃないですから謝らないでください」
休日の都立公園にいるところを社員に見られるなんて、どんな有能な人間だって予測できないだろう。
それに、野々花が衆人環視の中で倒れたせいで噂を加速させてしまったのだから、一哉を責めるつもりはまったくない。けれど、社長の交際相手だと大々的に嘘の説明をするのは躊躇いがある。



