(私ったら、どうしてもっと早く社長が子連れだったことを不思議に思わなかったの……!)
休日の公園で社長と出くわすというイレギュラーに加え、維月が事故に遭いそうになったことで、一番大きな疑問を見落としていた。
もしすぐに隠し子疑惑に気付いていたら、維月を助けたあとは速攻でその場から逃げ出していただろう。
昨日から本当に災難続きだ。火事に見舞われ、今後のことを考えるだけで心身ともに疲労困憊なのに、社長のスキャンダルを知ってしまうなんて。
(え、私なにか悪いことした……?!)
脳内でパニックを起こして立ち止まった野々花の両足に、維月が「ちゅかまえたー!」と抱きついてきた。ハッとして意識を彼に戻す。
「もーいっかい!」
「あっ、うん、そうだね。じゃあ今度は――」
「悪い、待たせた」
振り返ると、李月と手を繋いだ一哉が戻ってきた。李月はやっとトイレに行けて満足なのか、にこにこしながら「りちゅきも、あしょぶ!」と一哉の手をくいくいと引きながら見上げている。



