社員食堂で倒れる失態を犯してしまい、野々花は内心で頭を抱えた。ただでさえ注目を浴びていたし、きっと医務室に連れて行ってくれたのは一哉だろう。どうやって運んでくれたのかは想像するだけで羞恥に頭が沸騰しそうなので考えないでおくことにした。
(……そういえば、お昼に新居を探す話をした時、一哉さんの様子が変だった気がする。お姉さんが帰国する前にシッター役の私がいなくなったら困るって焦ったのかな。ちゃんと約束は守るつもりなのに)
けれど、自社の社長との同居は危険なのではとも感じる。仲のいい三柴でさえもいい顔をしなかったのだ。噂になっているなんて、社長としての立場が悪くなるのではないだろうか。
「私、このままここに住んでていいのかな……」
思わず漏れ出たひとり言に、一哉が反応する。
「どういう意味だ?」
彼はキッチンから出てくると、少し間を空けて野々花の隣に腰を下ろした。
「ここでの生活が嫌になった?」
「違います!」



