(迷惑をかけてしまったのに、どうしてこんなによくしてくれるんだろう……)
子供の頃から、ずっとしっかり者として頼られる側だった。
『もっと周りに頼っていい。甘えていいんだ』
そんなふうに言ってくれる人はいなかったし、野々花自身も頼られる側でいるのが嬉しく、そうした言葉を望んでいたわけではなかった。
それなのに、こうして一哉から甘やかされ、心地よさを感じている。
じっと見つめていたからだろうか。一哉が野々花の方に視線を寄越し、ふっと微笑んだ。その笑顔に心臓が大きく跳ね、どう返していいのかわからずに俯いてしまう。
料理をする一哉に見惚れてしまった自分を再び戒め、会社に体調不良で休むと連絡を入れた。
(きっと文乃ちゃんと三柴くんにも心配かけちゃったよね)



