(よし。維月くんと遊び終えたら、もうひと頑張りしよう!)
そう決意した矢先、野々花は唐突にある事実に気がついた。
(あれ? 社長って独身、だよね……?)
野々花は広報部の社員、それも社外広報担当だ。当然、自社の社長のプロフィールは頭に入っている。
白河一哉、八月九日生まれ、三十二歳。大学時代に副社長と一緒に金融システム開発会社『ネイバークリプト』を起業。経済誌やビジネス雑誌の取材はOKだが顔出しはNG。未婚で離婚歴もないと聞いている。
(それなのに、社長と同じDNAをひしひしと感じる双子の男の子……。しかも〝白河〟維月って本人も名乗ってたし。え? 待って待って、隠し子ってこと?)
広報担当として公にされているプロフィールは知っていても、恋愛事情まで把握しているわけではない。過去に付き合った女性との間に子供がいたとしても野々花が知る由はないし、一哉だってそれを公表するつもりもないはずだ。
だとしたら、野々花はとんでもない場面に遭遇してしまったのではないだろうか。



