本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「よかった、目が覚めたか。一度起こしたほうがいいかと様子を見に来たんだ」
「す、すみません、私……」
「謝らなくていい。水飲めるか?」

一哉は野々花の背中に手を添えて身体を起こすのを手伝うと、水の入ったグラスを手渡してくれる。

どのくらい眠っていたのかわからないけれど、かなり喉が乾いている。野々花はお礼を告げてグラスを受け取ると、中身をすべて飲み干した。

はぁっと吐いた息が熱い。どうやらかなり高熱らしい。

「社員食堂で倒れたんだ。会社の医務室でオンライン診療を受けたのは覚えてるか?」

熱で朦朧としていたけれど、うっすら覚えている。診療を受けたあと、処方された薬が届くのを待って、一哉がタクシーでここまで付き添ってくれたのだ。

「はい。ご迷惑をおかけしてすみません。ふたりとも、私は大丈夫だからね」