「っていうか、そう言うお前は実家暮らしじゃなかった?」
「私は推しに貢ぐのが生き甲斐なので余計な出費は極力減らさないと」
文乃らしい回答に笑みが零れる。三柴は呆れたようにため息をつくと、野々花に向き直った。その眼差しが熱っぽく見えるのは、野々花の頭がぼうっとしているせいだろうか。
「絶対早めに引っ越した方がいいですよ。俺、すぐに友人に連絡取るんで、詳しい条件教えてください。業界の人間なら、安くていい物件を知ってるだろうし」
「う、うん」
三柴の勢いに飲まれるように新居の条件などを話す。野々花も毎晩ネットで探してはいたけれど、なかなか見つからなかったため三柴の紹介はとてもありがたい。
しかし新居の条件を話していると、どことなく寂しい気持ちが胸に渦巻いてきた。今の賑やかな生活からひとり暮らしに戻るのを心細く感じる。
体調が芳しくないせいで、思考もネガティブになっているのかもしれない。野々花は無理やり目の前の食事を口に運んだ。



