「健先輩、言っておきますけど、野々花先輩がこれまで誰のものにもなってないのは、信じられないくらい恋愛に興味示さないから男性側がビビって誰も壁を壊せていないだけで、臆せずアプローチする人がいればすぐにでも恋人のひとりやふたりくらい簡単にできちゃいますよ」
「……んなことわかってるよ」
「野々花先輩が取られそうでピンチだからって私を睨まないでくださいよ。アクション起こさずにのんびりしてるからそうなるんですー」
ヒソヒソとそんな会話がなされていたことに、頭痛に苛まれている野々花は気付かなかった。
その日の昼休み。ミーティングを終えた野々花は文乃と三柴と三人で社員食堂へと向かった。社員食堂とは言ってもネイバークリプトのそれはおしゃれなカフェラウンジのような洗練された空間で、社員の健康増進のために日替わりのランチプレートが提供されるため、毎日通っても飽きないと人気がある。
あまり食欲はないけれど、ふたりに心配をかけるわけにはいかない。あとで薬を飲むためにも胃になにか入れておくべきだと、日替わりプレートを注文した。



