「よかった。父が連絡しても全然お会いできないから心配していたんです。楽しみにしてますね」
彼女はなにを勘違いしたのか嬉しそうに胸の前で手を組み、自分が一番美しく見える角度で微笑みを向けてくる。
「いえ。申し訳ありませんが、同席はご遠慮ください」
「先日のように週刊誌を気にしていらっしゃるのでしたら、心配は無用ですよ。きちんと対策を考えているんです。でも、私は一哉さんとなら記事になっても構わないかなって」
亜沙美は獲物を狙う女豹のごとくうっとりと目を細め、小首をかしげる。これまでそうして男を落としてきたのだろうが、一哉はなんの魅力も感じない。淡々と彼女の認識の相違を正した。
「そうではなく、仕事の話をしたいので」
「えっ、でも……」
まさか断られるとは思っていなかったのだろう。困ったように父の方を見る亜沙美に、益田も顔をしかめて一哉に詰め寄ってくる。



