苦し紛れに反撃したものの、相澤は気にもとめていないのかまだケラケラと笑っている。
「ま、せいぜい振られないように頑張れよ。変な噂が広がるのは彼女にとってもよくないだろうし、俺もいくつか手は打っておくよ」
やって来た時と同様に気まぐれに去っていく相棒を見送り、一哉は小さくため息をつきながら起動したパソコンに向き合うのだった。
「失礼します。今よろしいでしょうか」
その日の正午頃。コンコンとノックの音が響き、一哉は「どうぞ」と相手を促す。ほとほと困り果てた様子で入ってきたのは、社長秘書の岡田だった。
「お忙しいところ、恐縮なのですが……」
言い淀む岡田に、一哉は用件を悟った。
「また益田親子か?」
「……はい。今日は電話ではなく、すでに受付にいらっしゃっておりまして」
「受付に?」



