実家の事情で節約をしているとはいえ、野々花のように若い女性が何日もネットカフェに滞在していると聞き、看過できなかった。同じマンションに住んでいた学生の子をフォローしていたために、緊急時用の公営住宅を借りられる制度の申請が遅れてしまったと知った時には、一哉の庇護欲は加速度的に膨れ上がった。
強引に彼女を自宅へと連れ帰り、改めて双子育児の協力を頼み込み、現在に至る。
自宅の火災という不幸に付け込んだような形になってしまったが、彼女を逃さなくてよかったと心から思う。
子供たちに対する優しい眼差しも、一哉を名前で呼ぶだけで恥ずかしがる純粋さも、家族思いなところも、他人ばかり思い遣って自分を蔑ろにしてしまいそうな危なっかしさまで、野々花のすべてに急速に惹かれている。
先ほども周囲から家族のように見られているのを耳が拾い、つい野々花をからかってしまった。
『ほら、写真撮るから笑って。奥さん』
『いっ、一哉さん……!』
真っ赤になってじろりと睨んでくる野々花は本当に愛らしかった。それと同時に、本当に彼女が〝奥さん〟になってくれたならどれだけ幸せだろうとも思った。



