天邪鬼な私に、宣戦布告されました

声が震える。

「ちょっと捻くれてて、不器用で。言葉と心がバラバラで。それに苦しんでる颯斗が好きだった」

目が熱い。

「でも今は違う」

「違わない」

颯斗が即座に言う。

「違うよ」

沙彩は首を振る。

「今の颯斗は、みんなの中心にいる」

一歩、後ろに引く。

「今、彼女になったらさ……」

唇を噛む。

「“今の颯斗だから好きになったんだね”って思われる」

視線が落ちる。

「そんなの、嫌なの」

静寂。

「私は、あの時の颯斗が好きだったって、言えなくなる」

「あんな俺でも、好きになってくれてたの?」

小さく、でも確かめるみたいに。

沙彩は、コクリと頷いた。

一瞬、颯斗の表情がほどける。

「……そっか」

息を吐いて、それから真っ直ぐに見た。

「やっぱり俺は桜庭が好きだ」

迷いがない。

「みんなの目が気になるなら、高校生でいるうちは付き合いたいなんて言わない」

沙彩の目が丸くなる。

「卒業したら、また告白する」

風が吹く。

「それまでに、今の俺も好きにさせる。覚悟しといて」

一瞬、沈黙。

「何それ。宣戦布告?」

口元が緩む。

「そう。宣戦布告」

颯斗は少しだけ挑戦的に笑う。

「絶対勝ってみせるから」

「ははっ。やれるもんならやってみて」

視線が絡む。

どちらともなく、吹き出した。

緊張も、不安も、全部ほどける。

公園に、二人の笑い声が響いた。