天邪鬼な私に、宣戦布告されました

バタバタと足音が駆け寄ってくる。

「大丈夫か?」
「沙彩、大丈夫?」

……あれ。

思ったより痛くない。
床は、冷たくも固くもなかった。

ゆっくり身体を起こす。

そこに――颯斗がいた。

私の下で、倒れている。

「……イタッ」

遅れて、颯斗が身体を起こす。

その瞬間。

空気が、ぴん、と張り詰めた。

(や、やばい……私、颯斗を下敷きにしてた……)

周りの空気が変わる。

みんなが、息を止めている。

“あの颯斗”の暴言に身構えている。

颯斗と目が合った。

ごくり。

誰かの唾を飲む音が、やけに大きく響いた。

「大丈夫? 桜庭」

「……」

ん?

これが漫画だったら、ここにいた全員の頭の上に、でっかい「?」が浮かんでいるに違いない。

颯斗の予想外すぎる一言に、時間が止まった。

「いってーな、何してんだよ、てめー」

――そんな怒声が飛んでくるはずだった。

なのに。

「桜庭、大丈夫? 身体、動くか」

颯斗の口から、ありえない言葉が続く。

誰かが、息を呑む。

階段の踊り場に、重たい沈黙が落ちた。

誰も動かない。

時間が止まったみたいに、階段の踊り場は静まり返っている。

誰も何も言えなかった。