天邪鬼な私に、宣戦布告されました

手の中のグラスが、やわらかな光を宿していた。

それから数日も経てば、修学旅行の余韻もすっかり消えた。

部活に入っている生徒たちは、夏の大会に向けて練習漬けの毎日を送っている。

私は帰宅部だから、由乃と澪とだらだら帰る毎日だけど。

「沙彩、次音楽だよー。音楽室行こ」

由乃が相変わらず首に巻きついてくる。
それを澪がベリッと剥がす。いつもの光景だ。

三人で並んで、四階へ続く階段を上る。

「……でね、恒一がさー」

由乃の話は止まらない。

そのとき、ふと思い出した。

「あっ。鑑賞のプリント、今日までだ」

やばい。

「忘れた。取ってくる、先行ってて!」

そう言って、階段の途中でくるりと身体を反転させる。

その瞬間――

(あっ、颯斗)

ちょうど階段を登ろうと足を踏み出している颯斗と、目が合った。

心臓が跳ねる。

ズルッ。

えっ。

足の裏が、空を切った。

「イタ……」