天邪鬼な私に、宣戦布告されました

高温のそれが自分の前に差し出されると、
暑さとは違う汗がじわりと滲んだ。

「今からコップの飲み口に印をつけます。
このハサミを持ってくださいね」

大きなハサミを渡される。

(あの、熱々のやつに……?)

恐る恐る挟むと、お店の人が棒をくるくると回す。
赤いガラスが揺れる。

「次は、この棒に思いきり息を吹き込んでください。膨らませますよ」

ふぅ……

全然、膨らまない。

隣では颯斗が、一気に赤い塊を大きくしていく。

「怖がらなくて大丈夫ですよ。思いきり息を入れてください」

優しく声をかけてもらうけれど、

(む、無理……膨らまないよ)

「桜庭、落ち着け」

すぐ隣から落ちてきた低い声に、心臓が跳ねた。

「いいか、まず息を吐ききれ」

言われた通り、息を吐く。

ふぅーーー……

「ゆっくり、大きく吸え」

すぅーーー……

「吐け!」

ふーーー!

さっきはまったく膨らむ気配のなかった赤い丸が、ゆっくりと大きくなっていく。

……できた!