予想した以上に、川底は速い流れでした。
黒々とした岩があちこちに転がっています。
流れが渦を巻いているような窪みもありました。
リクちゃん!
リクちゃん!
私は一生懸命に泳ぎました。
泳ぎには自信を持っていたんです。
水中でも自由に、素早く動きまわれるって。
でも、それが今、全然、思うようにいきません。
流れが強すぎるんです。
泳いでいるという感覚がまるでありません。
ほとんど、川に流されている感じです。
……。
私は自分がどちらを向いているのかも、だんだん、わからなくなってきました。
水の中で初めての感覚でした。
これって……恐怖?
……。
私は、それから逃げようと、水面に顔をだしました。
すると、先に、しぶきのあがるのが見えます。
リクちゃんです!
と、私のすぐ先で、白い渦が巻いていました。
とがった黒々とした岩が顔を覗かせています。
私はそれを見た瞬間に、流れに抗えない小魚のように、きりきり舞いさせられていました。
頬が、腕が、脚が、しびれるように、ぴりぴりと痛みます。
……。
恐怖が、私の体を包み込もうとしていました。
私は必死に水を蹴って、水面に勢いよく飛びだしました。
リクちゃんがあげる水しぶきが大きくなったり、小さくなったりしているのが見えます。
リクちゃん、弱っているんです。
無理もありません。
リクちゃんは全力で腕相撲をして、そして相撲をとっていたんですから。
ただでさえカナヅチなのに、リクちゃんの今の恐怖はどんなでしょう。
私がこわがっているような場合ではありません!
リクちゃん!
今、私が行くから!
思いきり水をかいて、私は川の流れに乗りました。
いえ、違います、私が泳いでいるのでは、まったくありませんでした。
流されてる……。
私は、ただ流されていました。
ものすごい水の勢いです。
私は、リクちゃんのすぐ近くまで、一気に運ばれました。
リクちゃんは、川面から突きでた大きな岩にしがみついています。
「リクちゃん! 来たよ!」
私は、ゴーゴーという水の音の中で、ありったけの声で叫びました。
私の声がリクちゃんに届いているかどうかなんてわかりません。
いえ、本当に声が出ているのかどうかさえ、私自身、わからなかったんです。
リクちゃんは、目をぎゅっと閉じていました。
唇が震えています。
私はそこにリクちゃんの命を感じました。
それはとても愛おしく、大切なものに思われました。
「何が何でもリクちゃんを助けるから!」
私は、リクちゃんに、そして、自分自身に、言いました。
でも、すごい水の流れ!
この流れでは、私がリクちゃんを抱いて、岸まで泳ぐことなんて、とてもできそうにありません。
私はリクちゃんと岩をしっかりと抱きかかえました。
絶対に、岩から手を離さない!
リクちゃんを離さない!
そう思った直後でした。
水が、私とリクちゃんの間に潜りこんできて、大きくふくらみました。
そうして私をリクちゃんから、ぐいと引き離してしまいました。
あっという間の出来事。
私は水にさらわれていました。
リクちゃんがしがみついている岩から、私はどんどん遠のいていきます。
体の自由がまったく利きませんでした。
力も入りません。
私はただの小さな棒切れになっていました。
強い力で、川の中へと引きずり込まれていきます。
……。
黒々とした岩があちこちに転がっています。
流れが渦を巻いているような窪みもありました。
リクちゃん!
リクちゃん!
私は一生懸命に泳ぎました。
泳ぎには自信を持っていたんです。
水中でも自由に、素早く動きまわれるって。
でも、それが今、全然、思うようにいきません。
流れが強すぎるんです。
泳いでいるという感覚がまるでありません。
ほとんど、川に流されている感じです。
……。
私は自分がどちらを向いているのかも、だんだん、わからなくなってきました。
水の中で初めての感覚でした。
これって……恐怖?
……。
私は、それから逃げようと、水面に顔をだしました。
すると、先に、しぶきのあがるのが見えます。
リクちゃんです!
と、私のすぐ先で、白い渦が巻いていました。
とがった黒々とした岩が顔を覗かせています。
私はそれを見た瞬間に、流れに抗えない小魚のように、きりきり舞いさせられていました。
頬が、腕が、脚が、しびれるように、ぴりぴりと痛みます。
……。
恐怖が、私の体を包み込もうとしていました。
私は必死に水を蹴って、水面に勢いよく飛びだしました。
リクちゃんがあげる水しぶきが大きくなったり、小さくなったりしているのが見えます。
リクちゃん、弱っているんです。
無理もありません。
リクちゃんは全力で腕相撲をして、そして相撲をとっていたんですから。
ただでさえカナヅチなのに、リクちゃんの今の恐怖はどんなでしょう。
私がこわがっているような場合ではありません!
リクちゃん!
今、私が行くから!
思いきり水をかいて、私は川の流れに乗りました。
いえ、違います、私が泳いでいるのでは、まったくありませんでした。
流されてる……。
私は、ただ流されていました。
ものすごい水の勢いです。
私は、リクちゃんのすぐ近くまで、一気に運ばれました。
リクちゃんは、川面から突きでた大きな岩にしがみついています。
「リクちゃん! 来たよ!」
私は、ゴーゴーという水の音の中で、ありったけの声で叫びました。
私の声がリクちゃんに届いているかどうかなんてわかりません。
いえ、本当に声が出ているのかどうかさえ、私自身、わからなかったんです。
リクちゃんは、目をぎゅっと閉じていました。
唇が震えています。
私はそこにリクちゃんの命を感じました。
それはとても愛おしく、大切なものに思われました。
「何が何でもリクちゃんを助けるから!」
私は、リクちゃんに、そして、自分自身に、言いました。
でも、すごい水の流れ!
この流れでは、私がリクちゃんを抱いて、岸まで泳ぐことなんて、とてもできそうにありません。
私はリクちゃんと岩をしっかりと抱きかかえました。
絶対に、岩から手を離さない!
リクちゃんを離さない!
そう思った直後でした。
水が、私とリクちゃんの間に潜りこんできて、大きくふくらみました。
そうして私をリクちゃんから、ぐいと引き離してしまいました。
あっという間の出来事。
私は水にさらわれていました。
リクちゃんがしがみついている岩から、私はどんどん遠のいていきます。
体の自由がまったく利きませんでした。
力も入りません。
私はただの小さな棒切れになっていました。
強い力で、川の中へと引きずり込まれていきます。
……。
