ちょっと天然の女子はきらきらでピカピカになる

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 河原に戻ると、三人は、先ほどいた場所にはいませんでした。

 どこに行ったのかしら……。

 私はきょろきょろしながら、岸辺を川下のほうへとゆっくり歩いていきました。

 いません。

 いません。

 いません。

 とうとう、お父さんが勤めるリバーサイドホテルが見える所まで来てしまいました。

 お父さんは、今頃、お仕事に励んでいることでしょう。

 がんばってー、お父さーん! 

 この辺になると、泳いでいる人もまばらになります。
 これより先にいくと、流れが急になる所があるんです。
 そこからは、もう遊泳禁止区域です。

 と、川が左にゆるやかに曲がる所で、三人を見つけました。
 
 そこは遊泳禁止区域に入るぎりぎりの所でした。

 リクちゃんとグリズさんは、膝上まで水に浸かって、がっぷり四つに組んでいます。

 え? 
 相撲?
 相撲してるの? 

 二人のそばの岸には、お姉ちゃんが立っています。

 あ! 
 お姉ちゃんが私に気づいたようです。

 手を振っています。

「こっちのほうまで来て、何してるのー」
 私はお姉ちゃんに駆け寄りながら、叫びました。

 さっきいたところよりも、川の流れの音が、ずっと大きくなっています。

「相撲よ! 相撲! あれから、相撲、始めちゃったの!」
 
 お姉ちゃんは、怒っているようでもあり、あきれているようでもありました。

 先には、監視小屋が建っています。
 チェリー川の最も川下にある遊泳監視小屋です。 
 カッパーさんのいる監視小屋よりも、やや大きくて、新しい感じでした。 
 中で、人の動く気配がします。
 もちろん、それは、カッパーさんではありません。
 別の監視員です。
 もし、そこに、カッパーさんがいたら、相撲をとっている二人に気づいて、喜び勇んでやってくることでしょう。

「押したり、投げたりするのを、こらえながら、ここまできちゃったのよ」

「二人とも、疲れちゃってるんじゃない?」

 私は、お姉ちゃんの隣に立ちました。

「ああっ!」
 お姉ちゃんが悲鳴のような声をだしました。

 グリズさんが、リクちゃんを浴びせ倒しそうです! 

 と思ったら、何と、リクちゃんが、その身を大きくそらせ、グリズさんを、後方に投げ飛ばしました。

 うっちゃりです! 

 大きな水しぶきが、あがりました。

「リクちゃん、勝った!」

 私は、両手をあげて、ぴょんぴょん飛び跳ねました。
 
 川の中から、グリズさんが、踊るように飛びでてきました。

 ずぶ濡れです。

 大きく、頭を振って、しぶきをとばします。
 
 ……あれ? 
 
 ……リクちゃん?

 投げを打つまで見えていたリクちゃんの姿が、どこにも見あたりません。

「……リクちゃんは?」

「あそこ!」
 お姉ちゃんが、私の肩に手をあてて大声をあげました。
 もう片方の手で、川下を指さします。
 
 リクちゃん!

 リクちゃんは、もう十メートルも先に流されていました! 

 川底の流れが速くなっているようです。

 私は、Tシャツを脱ぎ、短パンに手をかけました。

「アユ! だめよ!」
 お姉ちゃんが私の右腕を強く掴んできました。

 私は、お姉ちゃんのその手を振りほどきました。
 短パンを脱ぎ、それとTシャツを、お姉ちゃんの胸に押しつけました。
 
 お姉ちゃんは何か叫んでいました。

 でも、もう、私は、お姉ちゃんを見てもいませんでした。
 サンダルを脱ぎ捨てると、川へ飛びこみました。

 川底の流れに乗ろうと思っていました。
 そうして、リクちゃんに追いつこうと。

 リクちゃん、待ってて!