登校前に鏡を見ながら、「どうして人間(ひと)には顔があって、わたしのはこんなふうなんだろう」――ちらりとそう思ったのが気にいらなかったらしい、「じゃあ、もういい!」と急にわたしの顔がふくれっつらになってしまった。
 いったいなにに対してそれほど怒ったの、とたずねてもムッツリ。〇〇ちゃんみたいにきれいじゃないのが不満なの、ときいてもダンマリ。
 学校にむかうあいだ、なんどか話しかけてみたけれど、ひとことの返事もしてくれない。
 ほんと、思春期の娘とつきあうのはむずかしいよ。
 でも知っているぞ。その不機嫌な顔のうしろでは、もうお昼のお弁当と、※※くんのことを考えているって。



   (おしまい)