――…
―――――
「姫ー」
「姫様ぁー」
「どこですかー」
「ひーめぇー」


バタバタ

「見つけた?」

「いえっ、お部屋から逃げ出したのは見かけたのですが…」
「一体、今回はどこに隠れたのやら」
「準備に時間がかかるのに…」

「とにかくもう一度手分けしてお探しして!

特に見落としそうな場所を…

なんせ、この前は掃除用具箱の中にいらっしゃったのだから!」

「「「はい!」」」


バタバタ

―――――――

―――…


場所は変わって、城内。青々とした空が姿を見せ始める頃。

一人の少女が古い扉の中で外の様子を伺っていた。


ふぅ

なんとか撒けたかしら…

全く、今日パーティーがあるなんて知らなかったわ

あんな堅苦しいところ、息が詰まっちゃって大変よ!

姉様も兄様もよくあんなところに出入りできるもんだわ

おめかしも大変だし…

このままパーティーが終わるまで逃げきっちゃえば、出席しなくていいわよね

よし!

気合いを入れて、右左を確認すると、勢いよく走り出した

ガシッ

っと思ったら


「おーまーえーわぁ
なぁにやってんだ!
また皆に迷惑かけて!!」

「に、に兄様!?」

あっけなく捕獲された