告白代行部は恋をしない....はず

高校に入学して1週間。

青葉高校では、1年生は必ずどこかの部活動に所属しないといけない。

でも、入りたい部活がない!!運動は好きじゃないし、文化部も見て回ったけど「これだ!」と思うものがない!!

もう飽きてしまった。自分でも早いと思っている。

「帰りたい」

小さく呟きながら、私は廊下を歩いた。その時、

「高橋紫音」

え!?まだ友達も作ってないのに、なんで私の名前を...
そう思いながら、振り返った。

そこには、あの入学式で見かけたまんまの男子生徒がいた。
けど、名前が思い出せない。

思ったまま、

「誰ですか?」

と聞いた。

「それ言う奴初めて見た」

神崎蒼(かんざきあおい)

あー。あの時に女子たちがキャーキャー騒いでた人か。

「それで、あなたみたいな騒がれて満足してそうなイケメンが、私に何のご用ですか」

やばい...!!!!思わず口が滑った。相手はあいにく生徒会長。

これは停学か?廊下に立たされる?最悪退学?色んな言葉がぐるぐる脳内を走り回っていた。

「おもしろ」
神崎.....先輩は「ふはっ」と笑った。

「で、部活決まった?」

え????怒られない??

「まだ決まってません」

一応警戒しておこう。なんせこの口滑らしの私に眉一つ動かさなかったんだから。

「よし」

はぁ?何がよしなんだこの生徒会長め。嫌な予感しかない。
もしかして学長が来て「あなたは退学だ」と言われる?それとも裏の部活に入れられる?

「うち来い」

え?無理無理無理。部活名を明かさないって一種の特殊詐欺かもしれないじゃん!!!

「絶対無理です」

即答だった。だって怪しい。めちゃくちゃ怪しい。

初対面の先輩にいきなり「うち来い」と言われて、ついて行く人がいるだろうか。
いや、いるかもしれない。でも私は行かない。

「じゃあ失礼します」

本当に危険と感じたので、私はぺこっと頭を下げて歩き出した。

これで解決。部活見学をもう1周しようか。
そう思った、三歩までは。

「待て待て待て」

腕を掴まれた。
「うわっ」
何!?これこそ詐欺の典型的なやり方なのでは!?

「逃げるな」

「逃げますよ!」

「なんで」

「なんでじゃないです!」

思わず振り返る。神崎先輩は本気で分かっていない顔をしていた。なんで部活に誘う当本人があっけらかんとした顔をしているんだ。

「初対面ですよね?」

「そうだな」

「部活名も聞いてませんよね?」

「聞いてないな」

「そんな状態で来いって言われても行きません!」

「なるほど」

神崎先輩は妙に納得した顔をした。本当に何なんだこの人は。

「説明不足だったか」

おーそうだ。本当に説明不足だよ!!

「かなりです」

「じゃあ説明する」

よかった。これで判断材料ができるし、やっと話が通じた。
安心安心。

「俺たちは」

神崎先輩が口を開く。

「恋に悩める生徒たちを救う組織だ」

は?なんか悩める子羊みたいに言うね?すごい部だね?逆に怖くなるよ!!!

「失礼します」

私はまた歩き出した。絶対に怪しすぎるんだもん。