Incomplete -この世界にいない君に、恋をした-



「蒼、お願い……私も一緒に連れてって」


「ダメだ」


心臓が握りつぶされるような拒絶感が、全身を支配する。


「……嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ」


私は彼の襟元を掴み、その胸に顔を押し当てて激しく首を振った。


「 ……お願い、蒼…!!」


無理だよ、絶対に。


「紬!!」


蒼の声が、歪んだ空間に鋭く突き刺さる。

彼は私を突き放そうとするけれど、私は彼の腰に必死に腕を回して、決して離れまいと食らいついた。


「どうして……どうして二人で生きる道を探そうとしないの!? 対価なんてなくたって、二人でなら、どんな地獄だって……!」


「地獄にするつもりか!?」


蒼の怒鳴り声に、周囲の空間がビリビリと震えた。彼は私の肩を強く掴み、無理やり視線を合わせさせる。
彼の瞳は、かつてないほど真っ赤に充血していた。


「俺の魂を差し出せば、お前は生きられる。……だが、もしお前がここに残れば、この歪んだ檻の中で、お前は永遠に独りぼっちだ。そんな地獄に、お前を置いていけるはずがないだろう!」


「……じゃあ私も一緒に、消えたい」


私は涙で視界が歪むのも構わず、彼の瞳を真っ直ぐに見つめ返した。


「蒼がいない場所で息をするくらいなら、蒼の隣で消えていく方が、私にとっては……ずっと、ずっと幸せなの!」


私のわがままな言葉に、蒼は絶句した。


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