気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


「待て。そこのカラス女。」

俺の呼びかけに女は反応し、ピタリと足を止め、くるりと振り向き言った。

「いま、なんと?」

「聞こえなかったのか?カーカーと耳障りなことばかり言うな。俺は結婚などしたくない。今日は、なかば強制的に参加させられたんだ。君に説教される筋合いはない。わかったか?」

すると女は淡々と言った。

「結婚したくないんじゃなくて、出来ないんじゃないですか?言葉は正しく使ってください。」

「ふざけたことを言うな。俺が本気を出したら、半年でウエディングベルを鳴らしてみせる。」

「それは絶対にあり得ません。」

「何故、そう言い切れる。」

「私はあなたみたいな男性を何人も見て来ています。場数が違うんです。あなたみたいにやる気のない男性が結婚出来る確率は、限りなくゼロに近いんです。」