俺は「YES」と答えるほど、厚かましい男ではない。
自分で自分を天才などと言うのはよっぽどの自信家か、謙虚さを失った馬鹿だ。
天才などという称号は、他人から言われてなんぼなのだ。
では「NO」と答えるか?
客観的に自分の医者としての業績を鑑みるに、天才と形容するにふさわしい仕事をしてきたと自負している。
どんなに技術力と忍耐力が必要とされるオペも、例外なく成功させてきた。
その実績や症例を研究結果として発表した論文は、医学会で高い評価を得ている。
その経歴を自ら「NO」と言い切ってしまって良いものなのだろうか?
黙り込む俺の言葉を、女は期待を込めた目で待っている。



