在りし日の、きみの残像。



「瑞希くん、見てくれたかなあ……」


 ベッドに横たわるクマのぬいぐるみを見ながら、私は首を傾げた。

 もっとちゃんとした便箋に書くべきだったかも。でもあのときは精一杯だったし……。


「あーっ」

 自分が人間と関わらなかったのを、ここまで後悔する日が来るとは。

 ベッドに突っ伏して、私は頭を抱えた。



 ……私、なんでこんなに悩んでるんだろう。

 はじめて興味を持った相手だから?慣れないことをしたせい?


  いずれにしても、こんなに思い詰めなくてもいいよね……よし、もう気にしない!!


 すると、ふと昼食を食べていないことに気づき、袋麺を取り出して鍋に突っ込む。

 そういえば、最近ずっとこういうのばっかりかもしれない。

 でも、野菜ジュースだって飲んでるし、今のところ太ったりしてないから大丈夫かな。



「いただきまーす」

 いただきますとごちそうさまは、ちゃんと言う。材料を作ってくれた人がいるから。


 けれど食事中の沈黙は免れることができないため、スマホで音楽を流す。

 選んだ曲は、最近流行っているアップテンポなもの。

 いつもは上機嫌で聴いているけど、今日はそれじゃあ満足できない。


 なんとなく、少し前に流行ったものをセレクトしてみる。

 歌詞を聴いていると、苦しそうに掠れた声も同時に耳に入った。


 ……どうしてこんな歌い方をするんだろう。何かあったのかな。


 普段は気にも留めないところも、ついつい気になってしまう。

 ―――これが、冷めていた私と、そうでない私の違いなんだろうか……?

 ついつい、首を傾げながらも聴き入ってしまう。


 気がつくと、目の前の麺はとっくにのびていて、慌てて口に運んだ。