恋愛はめんどくさい!


 ひと通りお店を見て回った後、モールの外に出ると、夕方の眩しい光が差し込んできた。
 二人で駅へ向かう道を歩きながら、私は今日一日のことを思い返していた。

 楽しかった。
 それは間違いない。
 でも……疲れた。とても疲れた。精神的に。
 充実感のようなものはあるが、いろいろなことを考えていたからだろう。
 そう、考えすぎなくらいに。

「大沼さん」

 先輩は歩きながら話し始めた。

「今日、一緒にいて思ったんだけどさ」
「はい」
「やっぱり思った通りだった。大沼さんと話してると、楽しかった」

 思わずドキッとした。疲れているせいか、思考がまとまらない。

「あ……」

 言葉がすぐには出なかった。
 先輩は話を続けた。

「なんかね、落ち着くというか、無理しなくていい感じがして、またこうやって出かけられたらいいなって」

 夕日のせいで先輩の顔はよく見えなかったが、その声は確かに嬉しそうだった。


 恋愛とはめんどくさいものだ。
 その妄想は、やっぱり正しかったと思う。
 それなのに、どうしてこんなめんどくさいことに、多くの人は惹きつけられてしまうのだろうか。

 先輩との出会いで、その理由が少しだけ分かったような気がした。


「……はい。私も楽しかったです」

 陽が沈みかける駅前で、私は小さく答えた。

 自然と出た言葉だった。