家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 でもその頬は、幸せの感情で、勝手に緩んだ。

 ちょっとはにかみつつも、笑顔が浮かぶ。

「ありがとう」

 だから同じく小声で答えた。

 巳影なら、言った通り、自分をとても大切にしてくれると、もうわかっているからだ。

「俺も世界で一番幸せだ。きみと結ばれるんだからな」

 明莉の笑みを受けて、巳影も頬を緩めた。

 優しい笑みが、顔いっぱいに広がった。

 それでそんなふうに言うから、明莉はさらに照れてしまう。

「……嬉しい。じゃあ、二人で世界一幸せになれる……?」

 答えた声は、もっとはっきりはにかんだ。

 だけど言葉はためらわない。

 恥ずかしくはあっても、幸せだと思ったから、そう聞いてみた。

 明莉の予想通り、巳影は笑みで肯定した。

「もちろん。世界一幸せな夫婦になろう」

 右手を持ち上げて、明莉の頬を包み込む。

 さらに顔を寄せ、吐息がわずかに感じられるほど間近で、そう言ってくれた。