家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 連れていかれたのは巳影の部屋だ。

 紺色と白を基調とした室内は、落ち着いた雰囲気がある。

 大きめの部屋には仕事用のデスクとオフィスチェア、ほかにクローゼットなどの生活に必要な家具が揃っていた。

 その一つであるベッドは、巳影の背が高いために、ダブルサイズだ。

 だから今、巳影からベッドに降ろされて、その上に二人で乗っても、まったく狭さは感じない。

「ふ……、っん、……はぁ……」

 ベッドの上に座った明莉の頬を包み、巳影が改めてキスを仕掛けてくる。

 明莉は彼の胸元を握って、それに応えた。

 甘い声が小さく零れる。

 巳影は「すぐに触れたい」と言ってくれたけれど、明莉も同じ気持ちが湧いた。

 気持ちが通じ合い、夫婦になったのだから、今すぐにでも愛情を確かめ合いたい気持ちがある。

 巳影はベッドの端に腰掛けた姿勢で、明莉に触れていたが、やがて体を引いた。

 自分のジャケットのボタンに手をかけて、少しもどかしそうに脱ぐ。

 スーツのジャケットは、近くにあったオフィスチェアの背に、ふわっとかけられた。