家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 想いが通じ合って、キスを交わして……。

 そのあとのことはもちろん決まっていた。

「行こうか」

 二度目のキスを解いたあと、巳影が目元を緩めて言った。

 幸福感と、酸素が少し足りないことで、ぽうっとする感覚を抱えながらも、明莉は頷く。

 巳影はさらに頬を緩め、そして手を伸ばして明莉の体を軽々と抱え上げた。

 静かに廊下の奥へ向かって歩きだす。

「お風呂は……? 汗、かいたし……」

 でもそこだけ気になって、聞いてしまった。

 夏場だし、もちろん汗をかいているだろう。

 触れ合うならちょっと気が引けるのだけど、巳影からはあっさり一蹴された。

「もう待てない。すぐに明莉に触れたいんだ」

 そう言われれば、無理も言えない。

 明莉ははにかんでしまう気持ちで、自分を抱えて歩く巳影の胸元に、頭を預けた。

 今度こそ正しいやり方で、愛し合うのだ。

 心が通じた仲として、そして夫婦として。