家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 どきん、と心臓が跳ねたけれど、もちろん喜びからの反応だ。

 よって、そっと目を閉じた。

 ドキドキと速くなる鼓動を抱えながら、顔を寄せられる空気を、感覚だけで感じ取る。

 頬を包む手に少しだけ力がこもり、静かに巳影のくちびるが触れてくる。

 しっとりと明莉のくちびるに合わせられた。

 重なったくちびるはやわらかくて、ほのかにあたたかい。

 明莉を慈しむように、そっと押しつけては離し、また触れて……と続けられる。

 明莉の鼓動は速くなり切っていたし、溢れる幸福感に、頭の中はふわふわしてきた。

 こういう仲に収まれて幸せだ、と交わすキスから強く実感する。

 やがて巳影が顔を引き、くちびるが離れる。

 明莉も目を開けた。

 間近で目が合い、また優しい視線が一つに交わる。

 引かれるように巳影が再び顔を寄せて、キスは二度目になった。

 明莉のふわふわする感覚はさらに強くなったし、一度目より情熱的な触れ方をされて、体に熱まで生まれた。

 体の奥が熱くなり、火照るように感じられる。