家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 誠実さと、大きな想いが同時に詰まった言葉を聞かされては、もう堪えられない。

 明莉はつい振り向いていた。

 急に明莉が動いたことで、巳影がちょっと驚いたように腕の力を緩める。

 そのために明莉は、しっかり巳影と向き合う体勢になれた。

 正面から、視点はだいぶ下だが、しっかりと巳影を見上げ、目を見つめる。

「ありがとう。こんなに大切にしてくれて……」

 噛みしめるようにお礼を言った。

 巳影の胸に手で触れ、スーツの胸元を軽く握る。

 胸元へそっと、身を寄せた。

「当然だ」

 少し驚いていた巳影が、頬を緩めた。

 幸せそうな微笑で答えて、手を動かす。

 明莉の頬に、大きな手が触れた。

 白い頬は、巳影の右手ですっぽり包まれてしまう。

 あたたかさと、優しく触れられる手つきに、明莉の頬も緩んでいた。

 幸せな微笑が視線を通じて交わった。

「明莉」

 見つめ合って数秒後、巳影が小さく呟いた。

 潜めた声と、愛おしげな眼差しに、明莉はすぐにこの先を察する。