家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 彼の態度からも結婚が成立したのを実感して、明莉の喜びは目元まで込み上げた。

 ぽろぽろっと涙が零れてしまう。

「まぁ、明莉。泣かなくていいのに」

 母が明莉の反応を見て、困ったように笑う。

 でも母こそ、泣くのを堪えているような顔だった。

「そうだぞ。幸せになるんだから、笑っていろ」

 父も同じような表情で、でもそう言ってくれる。

 だから明莉は指先で涙を拭った。

「ありがとう、お父さん。お母さん」

 泣き笑いになったが、笑顔になって、答える。

 その明莉の肩を、巳影がそっと抱いた。

 二人と両親に向けて、病室からは拍手が上がった。

 同じ部屋に入院している患者たちのものだ。

 両親があらかじめ、来客と真剣な話をするのだと言っておいたようで、静かに見守ってくれたのだ。

 ここばかりは明莉も巳影も照れてしまった。

 二人の初々しい反応を受けて、祝福の拍手はさらに大きなものになった。