家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 病室へ戻った二人は、両親に向かって、簡単に経緯を説明した。

 巳影の持ってきたガーベラは花瓶に活けられて、母のベッドの枕元に飾られていた。

 黄色が華やかで、見ていると気分が明るくなりそうだ。

「そうだったのね。朝日奈さんの話してた『ミカ』くんが『巳影』さんだったとは……。なんだか悪かったわ」

 急に明莉と巳影が出ていってしまい、戸惑っていただろう母は、申し訳なさそうな顔になる。

 実際、母がひと目見るなり巳影の素性を見抜いたために、こうなったのだ。

 でももちろん、巳影は「いえ」と答えた。

「本当は俺から前もって、打ち明けておくべきだったんです。良いきっかけをくださって、ありがとうございます」

 そして真面目なことを言ってくれる。

「いえ、そんな……」

 堂々とした巳影の態度に、母ははにかむように苦笑した。

 巳影の返答には、もちろん明莉も嬉しくなった。

 巳影の素性に関しては、明莉との間にすれ違いがあったためなのだし、すべてを知った今では、なにも気にならなかった。

 それよりこのあとの話のほうが重要だ。

 考えただけで、すでに胸が高鳴ってくる。

「それでお父様とお母様に、お見舞いではなく言いたいことがあるのです。本当ならきちんとした場を設けるべきなのに、すみませんが」

 巳影の切り出しはやはり真面目だった。

 この場所についても前置きして、謝ってくれる。