家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「もちろんだよ……! 私が一緒にいて心地良いって思える人は、もう見付かったんだもの」

 あのとき予防線のように言ってしまったけれど、あの言葉は取り消そうと思う。

 一年だけではもう足りない。

 自分で言った通り、一緒にいて心地良い人も、これほど自分を愛してくれる人も、目の前の巳影以外にいないと、よくわかったからだ。

「そうか、嬉しい」

 巳影がもっと頬を緩めた。

 幸せな気持ちが視線と、触れ合った手から行き交いする。

「……お父さんとお母さんの元へ行こうか。急に離席してしまって、心配をかけたよな」

 やがて惜しいと思いつつも、二人は手を離した。

 巳影が静かに言う。

 明莉は空いた手で涙を拭っていたけれど、小さく頷いた。

「うん。でも仕方ないよ、突然のことだったから」

 巳影の言うことはもっともだが、あんな展開では仕方がない。

 巳影は苦笑した。

「ありがとう」