家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「巳影さん……」

 明莉は感じ入った声になる。

 あのとき関係を持ったことを後悔していないのは、自分も同じだ。

 無意識の領域で巳影を『安心できる』『信頼して良い人』だと感じ取ったから、一夜を共にしたのだし、それ以降だって同じだ。

 今、明莉の中で、懐かしい彼と、現在で出会ってからずっと魅力的に感じていた彼が重なり合った。

「嬉しい。……また会えたのも、プロポーズも」

 喜びの感情のために、体が熱を持って、熱くなる。

 その気持ちをそのまま口に出した。

 明莉の肯定以上の言葉を聞いて、巳影は微笑んだ。

 心から安心できた、という顔だと明莉にもよくわかった。

 巳影がそっとこちらへ向かって手を伸ばしてきた。

 彼の意図がすぐにわかった明莉も、はにかみながら手をテーブルの下から出す。

 二人の手が、木のテーブルの上で触れ合った。

 巳影の大きくて骨ばった手が、明莉の手を優しく、それでいてしっかりと包み込む。

「今度こそチャンスは逃したくないと思うさ。だって、明莉は俺の初恋の人だったんだから」