家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「黙っていて、本当に申し訳なかった」

 木造りの家具が並ぶナチュラルな雰囲気のカフェで、注文した飲み物が来るよりも先に、巳影が深々と頭を下げた。

 向かいに座った明莉は、改めて戸惑うしかない。

「……どうして黙ってたの……?」

 移動する間で、少し気持ちが落ち着いたために、なんとか言葉が出た。

 責めるようになってしまわないか、気を付けながら聞く。

 だって巳影が同級生だったところで、別に嘘をつかれていたわけでも、騙されていたわけでもないのだ。

 驚き、意外に思いこそすれども、別に不満はない。

 ただ、話してもらえなかったのが不思議なだけだ。

 向かいの巳影は、そっと頭を上げた。

 発言通りの申し訳なさそうな表情で、明莉を見つめる。

「過去の自分はあまり誇れなくて……。明莉には、前に話した通り、『現在の』俺を見てほしかったんだ」