家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 母は意外な再会が嬉しいらしく、にこここしていた。

 そして四人部屋を見回す。

 だがそれも仕方がない。

 母の知る『朝日奈くん』が、まさか明莉の相手だとは夢にも思わないだろう。

 だから挨拶も途中だったし、本当は同じ部屋の人に用があったのかと誤解したようだ。

 そして巳影はこの反応に、非常に気まずそうな顔になった。

 ここまで話を聞いて、なんとなく頭に浮かぶことがあった明莉も同様だった。

「……あの、実は俺が明莉さんに結婚を申し込んだ者で……」

 思い切った様子で、巳影が切り出す。

 母の表情は固まった。

「……ええ!?」

 数秒後、病室に相応しくない、素っ頓狂な声が飛び出したくらいだ。