家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 母は明るい声を出して、話を続ける。

「朝日奈さんは息子さんが大好きだから、よく写真を見せられたものよ。『うちのミカが、ミカが』って毎回嬉しそうに話してね……」

 母の楽しそうな想い出話が次々と出てきた。

 だが巳影は戸惑った様子のままだ。

「それにしても、あの頃とだいぶ雰囲気変わったわね~! 立派になっちゃって……。お母さんはお元気?」

 その言葉に対しては、巳影がちょっと陰のある反応を見せた。

「母は……亡くなりました。数年前に病気で……」

 明莉も聞いていた内容を、少し小さくなった声で話す。

 母はハッとした顔をした。

「まぁ……それは失礼しました。お悔やみ申し上げます」

 それで謝り、小さく頭を下げる。

「ありがとうございます」

 巳影も端的に受け止めていた。

 それでも母の態度はすぐに変わる。

 明るい顔に戻り、巳影に質問を投げかけた。

「それで今日はどうしてこちらへ? どなたかのお見舞い?」