家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 よってそう考えたのだが、巳影のほうはなにも考える様子なく、頷いた。

「明莉がそうしたいなら、それが良いよ。お母さんのことを優先させてくれ」

 即答でそう言ってもらえて、明莉の胸は、じぃんと熱くなった。

 彼は明莉のことだけではなく、明莉の家族のことまで大事にしてくれるのだと、よく思い知らされた。

「ありがとう、巳影さん」

 心からお礼を言った。

「術後に落ち着いたら、俺もお見舞いに行こう。初めてお会いするのが正式なご挨拶ではなくて申し訳ないが、見舞いはしたいんだ。順序は変わってしまうが……」

 そのあと、巳影はさらに優しいことを言った。

 おまけにだいぶ真面目な気持ちからの言葉だった。

 明莉の胸は、さらに熱くなる。

「そんなこと、関係ないよ。むしろそう思ってもらえるのが嬉しい」

 だからそう答えた。

 母の入院について、心細く思う気持ちもあったが、巳影の反応は、明莉の想像した通りだった。

 本当に優しくて、理解のある人だ。

(こういう人と夫婦になるなら……絶対幸せになれるよ)

 明莉はそこまで確信して、違う意味でも胸を熱くしてしまった。