家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「明莉、本当にありがとう」

 帰るとき、母は丁寧にお礼を言ってくれた。

 父も同じで、深く頷く。

「明莉がいてくれて良かったよ」

 気持ちもだいぶ落ち着いた明莉は、二人に向かって笑ってみせた。

「気にしないで。家族じゃないの。とりあえず、明日の手術、頑張って!」

「ええ。ありがとう」

 明莉の笑顔に、母もつられたようで微笑を浮かべた。

 それで明莉は父に車で送ってもらい、家へ帰る。

 車内でようやくスマホを見ると、巳影からメッセージが届いていた。

『大丈夫か? 帰ったら話を聞かせてくれ』

 そんな優しいメッセージだ。

 明莉の胸は読んだだけで、ほわりとあたたかくなったくらいだ。

 優しい両親にトラブルが起こっても、自分は一人ではない。

 巳影ならきっと、理解を示してくれるし、心配もしてくれる。

 そういう優しい人なのだと、明莉はもうよく知っていた。

 そして巳影のそんな面に接するたびに、強い安心と喜びを覚えられるのだった。