家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「ああ、巳影くん。明莉がすでに世話になっているというのに、母さんのことでも迷惑をかけてしまうなぁ……。こんなことなら少しスケジュールに無理をしてでも、早めにご挨拶しておくべきだった」

 父はまた、眉を寄せた。

 悔やんでいる顔でそんなふうに言う。

 巳影と明莉の両親との顔合わせは、今日から数日後の週末の予定だったのだ。

 でももちろんこんな事態になっては、予定通りに顔合わせの会はできないだろう。

 最初に顔を合わせるのは、病院になってしまうかもしれない。

「大丈夫だよ。都合が合わなかったのはお父さんだけのせいじゃないから」

 明莉はそのように返して、話はそんなふうに進んだ。

 とりあえず明日の手術には付き添うことに決めた。

 院内の食堂でお昼を食べて、午後は父と共に、実家で母の入院に必要なものを見繕う。

 そんなことをしていれば、あっという間に夕方になった。