家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 唐突な連絡が入ったのは、明莉の面接が無事に終わった数日後だった。

 平日の午前中のことだ。

 明莉は家で家事をしていたのだが、スマホにかかってきた電話を何気なく取って、仰天した。

「お母さんが怪我を……!?」

 電話は父からだった。

 向こうもまだ落ち着かないという様子ながらも、説明してくれる。

 明莉の両親は、東京都の外れに住んでいる。

 二人とも五十代だ。

 明莉が家を出てからは二階建ての一軒家に二人暮らしで、穏やかに暮らしていた。

「朝、階段から落ちたんだ。足を滑らせたようでな……」

 父は苦しそうな様子で話す。

 明莉の胸も冷たくなった。

 でもそのあとの説明は、最悪というものではなかった。

 落ちたときとっさに手すりを掴んだのが良かったようで、頭は打たなかったのだ。

 念のため、頭部の怪我や脳の損傷の検査を受けても、問題なかったらしい。

 つまり命に別条はないということだ。

 明莉は心から胸をなでおろした。

 ただし、代わりに足に怪我を負ってしまった。

 それも太腿の骨折なので、入院が必要な見込みだし、治るのに時間がかかるかもしれない……。