家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 自分で言った通り、早めに仕事に就きたいと思う。

 巳影は「うちの会社に入るか?」と誘ってくれたけれど、なにしろ結婚生活は一年の予定だ。

 就職して一年後に結婚生活が終わるとしたら、その後が気まずくなる。

 そう思った明莉はお礼を言ったものの辞退したし、巳影もその気持ちはわかるだろう。

 そのまま「頑張れよ」と言ってくれたので、今の形になっている。

「来週には明莉のご両親と顔合わせだったな。よろしく頼む」

 食事が終わる頃、巳影が来週の予定を口に出した。

 巳影の身内には先週、挨拶をしていた。

 巳影の母はすでに亡く、父とは学生時代に両親の離婚で離れ離れになってから、ほぼ音信不通と言っていた。

 なので明莉が挨拶したのは、巳影の母方の祖父母だった。

 二人とも明莉を好意的に受け入れてくれたから、安堵したものだ。

 そして次は明莉の家族との顔合わせというわけだ。

「うん! こちらこそ」

 明莉の返事は明るい声になった。