家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

 ビールはあまり飲まないのだが、せっかくなので明莉も小さいグラスに少しだけ注いでもらった。

 これも夏向けのすっきりした銘柄のビールは、塩味を効かせた枝豆によく合う。

 隠し味にガーリックを入れたパスタも同様だ。

「明日は面接に行くんだったか?」

 食べるうちに巳影が聞いてくる。

 明莉はそのまま頷いた。

 予定を把握してくれるのも、また嬉しいことだ。

「うん。前と同じ、建築系の会社に……。スーツを今日、クリーニングから取ってきたの」

 巳影の言う通り、明日は就職活動の面接だ。

 建築系の中堅企業の書類選考に通過したので、面接を受けられることになった。

 しっかりスーツを着るのは久しぶりだから、少し緊張する。

「そうか。頑張って」

「ありがとう! 早く仕事を見付けたいからね」

 巳影が穏やかに励ましてくれて、明莉も緊張がほどける気持ちでお礼を言った。