家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

「美味しい。夏にぴったりだな」

 巳影が軽く風呂に入ったあと、夕食の時間になった。

 リラックスウェア姿になった巳影はパスタをひとくち食べて、目を丸くして褒めてくれる。

 イカとオクラのパスタは気に入ってもらえたようだ。

 明莉もエプロンを外して、部屋着のワンピース姿で向かいに座っている。

 その位置からは巳影の嬉しそうな表情がよく見えるので、明莉はまた嬉しくなってしまった。

「良かった! ネバネバ系は大丈夫って前に聞いたけど、オクラは好きかどうかわからなかったから、少し心配だったんだ」

 自分もパスタをフォークに巻きつけながら、弾んだ声で話す。

 そんな明莉を微笑で見つめ返して、巳影は穏やかに肯定した。

「いや、好き嫌いは特にない。美味いよ」

 そう言って、隣に置いてあったグラスを持ち、ひとくち飲んだ。

 グラスの中身はビールだ。

 メニューを見たとき「これはビールに合うな……」と期待の声で言われたので、明莉はつい笑ってしまい、それでビールを一缶だけ出してきた。